出版scam

以前からspamメールやscamメール(詐欺メール)は届いていましたが、最近、新手の詐欺が発生しています。

それは出版scamで、「あなたの論文の内容に関連した本を出版する予定なので、著者に加わってください」という内容です。問題なのは、同文面のメールが本のタイトルだけ変えて、大量にばらまかれています。しかも、その企画中の本にはISBNが付くと書かれているのですが、どの本の企画でもISBN番号が全く同じです(訂正:Xになにか数字が入るようです。ただし、ISBNに現実的な価値があるのかどうか不明です)。

オープンアクセス(無料での配布)を語っているので、出版料の数百ドルを払うことに納得してしまう人もいるわけです。問題は、普通は本を書くと印税がもらえるはずなのですが、このスキームでは印税は入りません。結局、この出版社がWeb上にpdfのファイルを置くだけで、数百ドル設けるというビジネスをやっているだけです。

こういうのは、ビジネスとして開催される国際会議(きちんとした査読がなく、ただイベントとして開催されるもの。主にリゾート地で毎年行われる)と同様、アカデミアからは排除されるべきものです。「悪貨は良貨を駆逐する」とならないようにしなければいけません。

ちなみにオープンアクセスには反対ではありませんので、誤解なきよう。きちんとした、編集者が真剣に内容を選んで本にしているのなら良いのですが、出版scamは、国際会議論文の著者に手当たり次第にメールを投げて、適当な「著書」を作ることでビジネスをしているところが問題なのです。

(追記)
非常に面白いことに気がつきました。
下記の2つの出版社は同じ内容の論文誌と書籍を「出版」していると言っています。

intechweb.org
sciyo.com

(日本人向けに全角にしてあります。)

なぜか両方で同じ人が称賛のコメントをしています。:−)

ここの出版社のものを研究業績として認めるどうかは要検討です。