日本のIT音痴あるいはDX後進国ぶり

言語処理というより、広く情報系の教育についての話題です。

コロナのまん延とともに、小中学校などでパソコンの貸し出しが行われています。オンライン授業に慣れるための予行演習をしているという感じです。もちろん、私立の小中学校などは昨年からタブレットやPCを使ったオンライン授業をやっているところもあるようですが、公立の学校の場合はすべての家庭で子供がPCを公平に使えないといけないので、PCをどのように準備するかがネックとなっていました。

最近、この問題か解消されたようで小中学校ではひとりに1台ノートPCが貸与されています(自治体によって時期に差があるとは思いますが)。オンライン授業に耐えるインターネット接続が家庭にない場合は、モバイルルーターの貸し出しも行っています。

さて、このようにやっと始まった日本の義務教育の情報化ですが、私の地域だけかもしれませんが、学校のIT音痴ぶりに警告を発せずにはいらません。今後、教科書やノートがすべてタブレットに置き換わることが見えているのにこの惨状。

何のことを言っているかというと、貸し出されているPCのパスワードが全員同じ。パスワードが書かれた設定プリントのコピーが配布されているので、当然同じパスワードを学校全体で使っていると推察できます。しかも、とてつもなく単純な初期パスワード。さらに驚くべきことに、小学校も中学校も同じパスワードだったことで確信できました。おそらく、市内のすべての小中学校のPCの初期パスワードが同じまま、初期パスワードを変えることなく、子供たちに貸与されて使われているのだろうということを。(念のため、子供のアカウントには制限がかかっているので、他の子のパスワードを知っていてもPCを乗っ取るなどはできません。ただ、友達の学習状況に干渉したり、勝手にメッセージを投稿したりでき、パスワードを全員知っているので誰がいたずらしたかはたぶん特定できません)

普通に考えて、誰かがこんなセキュリティ状態ではだめだと指摘して、全員別の初期パスワードを設定してから貸与するぐらいすると思うのですが。

どのような教育においても、初期教育というのが非常に大事で、パスワードは十分に複雑なものにし個人個人が別のものを設定し、友達であっても絶対に共有しないようにする、というのが情報教育の最初の最重要項目なのです。最初にみんなで同じ単純なパスワードを仲良く使う経験を子供に刷り込んでしまうことの問題点が分かっていないようです。IT音痴。

まず最初にPCを使うときにのパスワードの設定の仕方から情報教育が始まります。もちろん、子供がパスワードを忘れても回復できるように、管理者アカウントを担任が扱えることは必須です。

これからほとんどの産業がIT産業になることを、日本の教育はもっと意識してもらいたいものです。電話はIP電話になり、手紙はメールになり、お金は電子マネーになり、銀行もオンライン中心になり、銀塩カメラはデジカメになり、家電もIoT機器になり、家や自動車も大きなIT機器になっていく変化に対応できるのか不安です。IT音痴の金融機関がこれからも続くとは思えません。農機具もロボット化が進み、農業は生産の最大化問題を解いているわけですから十分にIT化されます。漁業も無人の自動航行船を併用した漁が広がるでしょう。公立の学校も含めた教育産業自体だってこれからはIT産業になります。

これからの時代、日本のあらゆる産業界のリーダーを情報系の博士号をもった天才たちが担っていかないと、アメリカや中国など海外企業との競争に負け続けるでしょう。はたして日本の全産業IT化の夜明けは来るのでしょうか。来てもらわないと困るのですが。そのスタート地点が小中学校の情報教育なのですから責任は重大。